Fish Hook Inc. CEOの竹田です。オフィシャルサイトでブログを開始してみようと思います。
ブログを開始しようと思った経緯は大きく2つありまして、
①オンライン特化型の釣具店という事で法人格としても情報発信する必要性を感じた。(印象のミスリードを限りなく減らしたい&私たちの事を広く遍く”正しい形”でお伝えする必要性を感じた。)
②開業までのリアルなSNS投稿の反応が通常時の投稿と比較するとパフォーマンスが高く、ブレイクダウンすると「起業、独立」または「いつかお店を持ちたい!」というポジティブな返信が多かったので、起業や独立、経営という視点からリアルを発信してみようと思った。
上記理由2つを背景にスタートした事もあり、Twitterとは毛色の異なる内容になることは事前にお伝えします。
ということで本編ですが、初回のブログはFish Hookのロゴについてご紹介しようと思います。
一件、ものすごくシンプルに見えるかもしれませんが、デザイナーさんとかなりの時間をディスカッションとScrap and Buildし出来上がった作品です。会社設立=ロゴ作成が当たり前とは一概に言えませんが、私たちのようにお店(例え仮想空間上であれ)を運用し商売をする場合。アイコニックになるようなモノやコトが必要になると思っています。イニシャルコストを抑えて起業をお考えであれば、”Must”か”Nice to have”で言えば後者になるので、売上がついた後にクリエイティブなことに予算が割けるようになった。というようなフェーズで製作するのでも個人的には全く問題はないと思います。
では、何故、Fish Hookはロゴを一番最初に作成したのか?ですが、憲法で例えると憲法第一条を制定したかったからです。すなわち、私たちが事業を形にする中で”迷い”が生じた時や重要な”意思決定”の際に立ち返るべき原点としてアイコンが必要と考え一番最初に取り掛かるJobとなりました。
これは、Fish Hookのドメインとそれに紐づく事業計画とビジネスモデルが直結するのですが、古くは2万3000年前(後期旧石器時代)から釣鉤が出土したというほどに”釣り”という文化と産業は歴史と伝統、そして多くの方々の努力と想いが積層した産業です。その中で新しく商売をする場合、業界の常識や慣習、商習慣を大切にしながらも良い意味で新たなエッセンスを加えていくこと。これが私たちが提供できる”新たな価値”になりますが、それは見方や立場からしたら”異物”として捉えられてしまう可能性を孕んでいる事は避けて通れないと創業時に強く感じました。
ですが、それを理由に何も動き出さないのは起業家として最も恥ずべきことであり。歴史的にイノベーションを起こしてきた偉人たちは世間や社会からの誹謗中傷や反発を受けながらも自らの信念と志、そして家族や仲間と共に未来を切り拓いてきた事実を目の当たりにすると、時として”時代のうねり”を巻き起こす条件の一つでもあるのかもしれないとすら感じる事さえあります。
それは、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アイザック・ニュートン、トーマス・エジソン、ヘンリー・フォード、渋沢栄一、幕末の志士たち…近年ではビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、ジェフ・ベゾス、ラリー・ペイジ、マーク・ベニオフなどTech界の偉人たちが事実として著書やインタビューで語っている通りでもあります。
私たちの釣具業界でもルアーフィッシングという切り口では、シャッドラップやカウントダウンでお馴染みRaparaの創業者 ラウリ・ラパラさんが著書やラパラ解体新書で彼が生きてきた時代背景やイノベーションを起こしてきた道程を紐解くことが出来ます。
いずれも共通しているのは”狂熱”という言葉と表現では足りないほどの情熱と自ら掲げた旗を成し遂げようとする実行の積み重ねによる”結果”です。すなわち経営をする上で”軸がブレない事”と”ビジョンを実現する実行力”は起業家に常に問われる資質でありますが、私は弱い人間なので、ブレることも声の大きな方の発言で軸がグラグラとブレない為にもロゴ=立ち返るべき場所として作成した。というのが大きな理由です。そして、その存在は同時に批判や反発を受けたとしても自ら掲げた旗を揚げ続ける覚悟が出来た事と同義であると受け止めています。
さて、それではロゴの制作秘話へ話を戻しましょう。
一番最初のラフ案はこのような内容でした。デザイナーさんとは初対面でしたが、ロゴ制作にあたり30件の提案を頂いた中で1番ビビッときたので即レス。内容はラフ案を作成した際に何を想い、そして私たちを考えて作成くださったか?でした。
その返信が、以下です。(※一部抜粋)
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夕日を大きくしたのはアウトドアでも釣りでも太陽が見えることが多いですよね。夕日(創業のきっかけ)は自然の意味でもこれからの竹田様の事業のご発展の意味でも入れたいなと思いました。
それから、魚も釣りを扱うことで入れたいと思ったのですが、これも躍動感や事業も上に跳ね上がるイメージで魚が水から跳ね上がったところがよいかなと思いました。
自然があって魚も活きているという意味と光があってそちらに向かって事業も躍動するイメージと二つ持たせたいなという意味があります。
そこから、また派生していく意味でも水の波紋をお入れしました。
フォントは迷っているのですが、イラストロゴに合うようなものがよいなと考えております。
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この返信を見て私は見事にハートを射抜かれてしまったのです。Fish Hookと共に歩んでくださるデザイナーを探していたことも有り、お人柄と思考力の深さ、他者を想像する力の素晴らしさに言葉通り”一目惚れ”してしまい。Fish Hookの名刺などお客様と接する重要なクリエイティブのほとんど全てを彼女たちと一緒に作成しています。
また、その他に29件のご提案をくださった方々の中には素晴らしい才能をお持ちの方や海外で活躍する有名なアーティストの方もいらっしゃいました。誰もが目にしたことがあるデザインを手掛けてこられたヨーロッパ在住のデザイナー様など多くの方からお力添え頂けたことは今でも心から感謝しております。この場を借りて感謝申し上げます。
Fish Hookでは何事も判断基準はポートフォリオやトラックレコード、業界での権力や声の大きさでは決して有りません。当然ですが過去はリスペクトしながらも、あくまで”今何をしていて”と”未来をどうしたいか?”を見据えて物事を判断しています。大変失礼な事を承知で記載すると、先に挙げた29件の中にいたデザイナーやアーティストと比べたら、彼女たちは未だまだかもしれません。本人たちも謙遜して同様に話してくれます。しかし、それはFish Hookも同様であり。何よりも彼女たちの才能と未来に僕たちは投資をしたくなりました。
Tech業界で例えると、中国の起業家、アリババ社(阿里巴巴集団)の創業者である馬雲 (ジャック・マー)が創業間もない時期に既に優秀な人よりも、成功したいと強く願う人を積極的に仲間にしたほうが結果的に成功する確率はあがる。といった話は有名ですが、私たちも同じ様なカルチャーを大切にしています。
最初のラフ案をベースにフォント、魚の抽象と写実の落とし所、要素として創業年とOutcomeの追加をしながら各要素が”不和”することなく”調和”する状態を目指しました。
それでは追加した各要素と上記に挙げた各部をサマリーでお伝えしましょう。
①魚の抽象度に関して、当初はもっと広く釣具を扱うことを検討していた事もあり特定の魚種に限った表現になってしまう事=マーケット対象がVerticalになりかねない事を危惧しましたが、エクイティファイナンスやデットファイナンスではなく、完全な自己資本で創業した事と事業計画を何度も練り上げて勝ち筋を数パターン検証した結果、”あえてVertical”に表現することがFish Hookにとってはプラスに働くことを確証したので鱒(トラウト)の写実性が高いデザインで着地致しました。
②フォントと要素の追加に関して、フォントに関しては私が敬愛してやまないNotionの創業者 Ivan Zhao氏に影響を受けています。詳しいフォントの明記はしませんが、個人的にサラリーマン時代にPdMをしていた際に気に入っていたフォントとマッシュアップさせたもので着地しました。追加要素は◆ SINCE 2023 ◆とFishing & Outdoor Gearというお店で取り扱うメインの内容の2つを反映させて頂きました。
③デザインの引き算とストーリーに関して、デザインの中でも商業デザインと分類される企業ロゴに関しては視認性の高さとシンプルさが極めて重要になります。例えばApple、NIKE、Starbucksなどが普段の生活で身近ですが、非常にシンプルかつ企業イメージが伝わる最たる例です。しかし、そんな彼らも歴史をたどると転換期にロゴも同時にアップデートを繰り返していることが見て取れます。その多くが最初は、何を目的とした組織かの明記。又はスローガンやMissionの要素をロゴデザインに落とし込んでいます。一つ具体的な例をご紹介します。例はもちろん、そう。アップルです。
例:アップルのロゴデザインの変遷(※抜粋編)
アップルフリークは最初のロゴデザインはお馴染みかもしれませんが、サラリーマン時代にコンペでプレゼンした際に驚かれた方々が多かったので例に出させて頂きました。1番最後のロゴを見慣れている方からしたら随分と斬新に感じられるかもしれません。詳しいデザインの背景や内容は割愛しますが、企業の成長とともに認知と信頼がブランドとなり”要素”は不要なものとなることが見て取れます。逆説的に読み解くと創業当初は”何を目的とした組織か?”という表現はデザイン上必須な事が理解いただけたのではないでしょうか?
しかし、要素の追加というのは簡単なようで非常に難しい作業なのです。何故ならば、商業デザインとしての勝ち筋である”視認性の高さ”と”シンプルさ”とは逆行するアプローチだからです。なので、非常に細かい工夫ですが、フォント、フォントサイズ、文字感の幅、行間の幅などを何度も何度も修正し現在のFish Hookのロゴが出来上がりました。
ちなみに、◆ SINCE 2023 ◆という要素は当初、● SINCE 2023 ●という案で進んでいました。これは私が創業するキッカケの一つである管理釣り場の朝霞ガーデン様のロゴデザインをトリビュートした経緯があります。一方でフォントとデザイン全体の調和が●では難しく◆にて着地しました。◆=ダイヤモンドという表現がデザイナーとの会話であがった事で”永遠に輝き続ける”鉱石としての特徴と創業地の埼玉県さいたま市には浦和レッドダイヤモンズというJリーグ創設当初からのチームがあり、彼らのような熱狂的かつ協力的なファンができるようにと肖った背景があります。(私自身がサッカー少年だったというのもあります。)
このように、ロゴ一つとっても多くのストーリーと目に見えない作業が隠れているのです。
年末年始でお出かけする際に手にとった製品のロゴや造り手の想いなどに思いを馳せると、いつもの景色が一変するような出来事と出逢えたりするかもしれません。
ルアーも釣具も同様とFish Hookとしては思っておりまして、2023年はそんなストーリーをお伝えし続けたいと思います。
Fish Hookを創業をしてから、一ヶ月の月日が経過しました。
歴史と伝統のある産業ではたった一ヶ月かもしれませんが、約一ヶ月前は”何もなかった”事を考えると随分と遠くに来たような気持ちになりながら、本ブログを綴っております。
10年後の”スタンダード”を創り上げるFish Hookは産声をあげたばかりのスタートアップです。アングラー、メーカー、管理釣り場、釣具業界含むステークホルダーの皆様、同じく志を共にする起業家の仲間たちとともに2023年は兎の如く”誰も蹴落とす事も否定する事もなく本質と向き合い飛躍する”一年として法人格として個人としても実現できたら幸いでございます。
2022年も残り9時間を残すところになりましたが、本年も大変お世話になりました。
そして、来年も宜しくお願いいたします。よい年をお迎えください。
株式会社Fish Hook 代表取締役CEO 竹田 亮士
PS:Fish Hookのクリエイティブを担うデザイナー集団のクリエイターズアパートメント代表 しそ姉さんが私との邂逅をブログ「おくのほそ道 12月22日 vol.21 出会い」で取り上げてくださいました。嬉しすぎて泣きそうなので最後に2022年の思い出として残しておきたいと思います。